Home > Archives > 2009-09

2009-09

歩くかやぶき

秋晴れの週末、武庫川女子大学の学生達による

古民家族の活動に講師として参加するために、

西ノ宮市は船坂に行ってまいりました。

 

今回は母屋のかやぶき屋根の葺き替えではなく、

増築部分を解体した際にむき出しになった

可愛らしいタイルばりの流しに

ちいさな屋根をかけたいということなのですが、

ちいさな屋根はおさまりがとても難しく、

良い材料と手間が必要になってくるので、

近頃おなじみの「とまあみ」でやることにしました。

 

屋根をかけるための柱と梁は

あらかじめ大工さんが組んでおいてくれました。

p9271165

赤いレンガと青いタイルが可愛い流し。

風雨と太陽にさらされて痛んでゆくのが惜しいというのもわかります。

みんなでかやぶき屋根をかけてあげましょう!

 

さっそく作業に取りかかるのですが、

その前に基本ロープワーク「男結び」をおぼえてもらいます。

p9271152

みなさんのみ込みが早く、短時間で男結びをおぼえてしまい、

ピチピチの女子大生達があっというまに男になってしまいました。

 

しかもこんな男顔負けの足下も!

p9271153

ニッカポッカに鳶靴下、地下足袋は丸五の白エアジョグ!

こんな渋いチョイスは現場でもなかなかお目にかかれません。

参りました!

職人として負けてられません。気合いを入れ直し下地組みにとりかかります。

 

下地は前回の古民家族の活動でほぼ組み上がっていましたので、

少しの補強をかねて参加者全員で組み直します。

p9271173

下地が出来上がったところで午前中の作業終了。

 

みんなでお昼ご飯。

p9271182

みんなで食べるとどうしてご飯がおいしくなるんでしょう?

 

同じ釜の飯を食うではないですが、

一体感と会話が生まれます。

 

最近、こういう何気ないですがちょっとした「場」というものが

とても大切なのではないかと思う。

 

田んぼの畔や、かやぶきの縁側でするなんでもない会話のように、

このなんでもなさの蓄積や連続が

じぃちゃんばぁちゃんの顔に深く刻まれた美しいシワをつくっているような気がします。

 

腹ごしらえもすんで午後からはとまあみにとりかかります。

p9271184

手足を器用に使い編み上げていきます。

p9271188

トラックの荷台も器用に使い編み上げていきます。

p9271192

十分な量が編み上がったので下地に葺いていきましょう。

p9271217

ちいさな屋根なのであっというまに棟納め。

p9271227

はい、完成です!

p9271235

しかし、この屋根をタイルばりの流しの上に置かなければいけません。

 

地面で葺いてしまってどうするの?と思ったあなた。

心配無用!

数人の男が屋根の下にはいってよっこらしょ!

p9271237

屋根が持ち上がり、いや歩きました!

この風景、どこかでみたな?と思ったらこれでした。

sc002856251

B・ルドルフスキー著の「建築家なしの建築」に載っている

ベトナムの引っ越し風景。

ね、似てるでしょう?

 

そのまま歩いて梁の上にポンっとおいたらホントの完成です!

p9271247

さっそく流しで洗い物。
p9271255

すごくエエ感じなのでカウンターをつけて、

赤提灯を吊って立ち飲みのおでんやさんでもしてみようかな、なんて声も。

 

来月末から行われる西ノ宮船坂ビエンナーレの際には

ほんとうにおでんやさんになっているかもしれませんよ。

 

最後に軒を刈り揃えてみました。

p9271279

p9271288

母屋のかやぶき屋根がじいちゃんで、今回のとま葺きが孫のよう。

そんなステキな風景が出来上がり、皆が帰った後、

日が暮れるまで眺めてしまいました。

 

古民家族のみなさん、参加者のみなさん、おつかれさまでした。

今回これなかった方々も近くに来た時には是非見に行ってやって下さい。
p9271259

淡河の若者ら 祭りを初企画

という見出しで今朝9/29の神戸新聞の朝刊に

淡河そら祭りの記事が掲載されました。

sc001b0763

植生調査イベント Listen 2009 秋

茅場の植生調査を開始してはや一年。

人の手が入ってから初めて迎える秋。

さて、植生はどうなったでしょう?

ススキは増えたのか!クズは減ったのか!はたまた新しい植物が出て来たのか!?

去年のデータと比較しながら秋の茅場の植物を観てみましょう!

p9191082

詳しくは「event」をご覧下さい。 

カヤティピ

淡河そら祭りの休憩スペースとして、

かやぶきのティピ(ネイティブアメリカンの移動式住居)が出来ないか、

ということでプロトタイプをつくることに。

受付小屋と同じくとまあみで考えてみました。

 

まず丸太5本を縄で縛って立ち上げて、足下を広げて安定させます。

p9161017

そしてとまを引っ掛ける下地をつくるのですが、

とまの特製を生かして遊ぶことに。

 

こんな感じで渦巻き状に下地をグルグルしてみました。

p9161030

あとはグルグル葺いていきます。

p9161033

グルグル。

p9161034

グルグル。

p9161035

グルグルと。

p9161037

そして最後にグルっとしたら完成です!

p9161039

グルグル葺いていったのでうずまき葺き、いや

「うずまブキ」と名付けましょう!

これはくさかんむりオリジナルの業ではないでしょうか!!

 

できあがった空間はどこか東南アジアのような雰囲気があります。

p9161042

受付小屋に続き色々と応用ができそうなので、

うずまブキ職人としては燃えるものがあります。

 

日が落ちてから裸電球をつるしてみました。

p9161062

農村の闇夜を照らす巨大な照明作品!

 

エエ雰囲気なので、お月見会の際に夜露をしのぐ

チルアウトスペースとしてつかってみることにします。

 

うずまブキの空間も味わえますので

みなさまぜひお月見会におこし下さいませ!

詳しくは「event」をご覧下さい。

農村の風景

秋晴れの週末、村人総出で村の山の手入れにいってきました。

 

村の山は広いので、グループ分けをして

それぞれ違うルートから山に入ります。

 

軽トラに乗り込み林道まで攻めて、

p9130892

林道の手入れをしながらみなで歩きます。

p9130898

途中、倒木などがあれば伐り出して、

p9130907

草が茂っていれば刈り倒しておきます。

p9130905

そんな風にしながら林道を奥へ奥へと進んでいきます。

 

途中、不思議な石垣を発見。

p9130935

一緒に歩いていた村人に聞くと、

なんでも炭焼き窯の跡だそう。

 

かつてはこの辺りの山は薪炭林だったそうで、

木を炭にして軽くしてから里へ持って下りていたとのこと。

 

鉄の輪の大八車で運んでいたころに、

ゴムタイアのリヤカーが出て来て感動した!など

村の昔の生活の話が聞けたりするのも

共同作業の良さですね。

 

しばらく進むと林道が交わる辻があり、

そこで別々に作業していたグループがおちあって作業完了です。

p9130924

すると一人の村人がちゃっかりと仏様に供えるシャシャキを集めていました。

p9130930

こういう供え物の花や木は、今でも山や里で調達するのが当たり前。

購入せずとも調達できる。

里山は余白のない生産地であり、ストックヤードなんですね。

 

こんなふうにしながら農村の風景は村人の手でつくられています。

稲穂の揺れる田園も、木漏れ日の心地よい林道も、

村人が手を入れているからこそある風景です。

 

よく田舎の風景が好きで引っ越してきたいという方がいますが、

その好きな風景は農村に住まう人の生産活動によって

つくられているということを知っていてほしい。

 

リビングの窓から田園を眺めてコーヒーをのみたいだけの人は

田舎では暮らせません。

 

農村は別荘地ではない。

田園を眺めてコーヒーをのんだ後に、

長靴と麦わら帽で田園に飛び出しましょう!

 

風景を眺める側ではなく、自分が風景の一部となって風景をつくる側に。

絵を描くよりも、絵に描かれるような人生をおくりたいですね。

gogh04

茅場でお月見会「月の光と虫の声」を開催します。
詳しくは「event」をご覧下さい。

還るところ

 

軽トラで農道を走っていると

一軒のかやぶき屋根が目に入った。

 

草につつみこまれ

寒村の道の辺にたつ野仏のようなかやぶき屋根が

ただひっそりとそこにあった。

 

もう住まう人はなく、役目を終えたかやぶき屋根は

そこで営まれた記憶とともに

膝をついて倒れ込もうとしている。

 

その姿は廃屋でも産業廃棄物でもなく

野に生きた動物や植物がそっと息をひきとる姿のように

静謐で美しいものに感じられた。

 

かやぶき屋根は、ただもと来た場所へ還ろうとしているだけなのだろう。

生まれてくるときに還るところが約束されているということは

「者」や「物」や「モノ」にとって

とても幸せなことなんだと思う。

 

おつかれさま。

出来ればもう少しはやく出会いたかったなぁ。

 

おつかれさま

大学生地域再生活動団体サミット

9月5日、6日の二日間、

天橋立で有名な、京都は丹後半島で

大学生地域再生活動団体サミットが開催されました。

 

ワタクシも関西の3大学の活動に関わっていますので

みんなの勇士を見るために参加させて頂きました。

 

初日は参加団体の活動報告。

どのような顔ぶれかと申しますと、

 

北海道大学・・・日本農業系学生会議JASC実行委員会

早稲田大学・・・学生NPO農楽塾

東京農工大学・・・黒森もりもり倶楽部

豊橋技術科学大学大学院・・・よらっせ!

帝京科学大学・・・森のココペリ

岐阜大学・・・かみいしづ古民家再生プロジェクト

滋賀県立大学・・・男鬼楽座

立命館大学・・・丹後村おこし開発チーム

武庫川女子大学・・・古民家族

立命館アジア太平洋大学・・・LSB(Long Stay Beppu)研究会

 

北は北海道、南は九州まで全国から様々な顔ぶれです。

このうち滋賀県立大学、武庫川女子大学、

そして今回のサミット、ホスト団体の立命館大学の

活動に関わらせ頂いています。

 

活動報告はくさかんむりにとっても

興味深く、参考になるものでした。

p9050826

やはりどの団体も地域住民とのコミュニケーションを丁寧に行っていて、

土地の文脈にしっかりと自分たちのカラダをそわせるプロセスを経ています。

 

しかし、その作業は活動初期の先輩達のみの経験だけに

なってしまっていることが多く、

後輩達は先輩達の作り上げた素地の上にいることを

忘れがちになっている印象を受けました。

 

あと、学生なので四年間という時間のなかで後継者を

育てたり、卒業してからの活動への関わり方など、

どの団体も同じような悩みをもっているということがわかり、

今回のサミットで意見交換の場が出来たということは

学生達にとって、とても良い機会が出来たことでしょうね。

 

夜は約100名の学生がワイワイしながらの懇親会!

p9050856

あまりの熱気に、食べることよりも話すことのほうに夢中になり、

気になった学生に片っ端から声をかけていきました。

 

やがて、あちこちでちいさな議論の場が出来上がってきて、

笑いと情熱が交じり合いながら、それぞれの未来を

語り合い、意思を高めあいました。

p9060908

本当におもしろい意見やアイデアって

こういう遊びのあるなんでもない会話のなかで生まれるもんだと思う。

 

そそくさと寝てしまった学生がたくさんいましたが、

寝るのがもったいないくらいの濃密な時間でしたよ。

 

ひとつひとつの機会を全力で味わえる体力があるのは若さの特権です。

明日のことも大事だけど、今をもっと大切に。

 

次の日は分科会。

グループごとに違うテーマで議論します。

僕もひとつのグループに混ぜてもらい

くさかんむりの立場から助言させて頂きました。

p9060957

おもしろいことに、どのグループの発表にも

「価値」や「価値観」といった言葉がでてきます。

 

くさかんむりもそうですが、

まったく新しいものをつくりだしているというよりも、

すでにそこにあるものに新しい価値付けを行っているといった感じです。

 

古くからの知恵や業をひとつひとつ丁寧に現代へフィットするカタチに

置き換える作業が、若い世代の役目なのかもしれません。

 

最後に、全参加団体で恊働宣言をおこないました。

p9060995

今までバラバラで活動していた団体が歩みを共にすると、

もっとおもしろいことができるでしょうね。

 

何かひとつの流れが生まれる瞬間に立ち会えたような気がして

うれしくなりました。

 

学生のみなさん、がんばってください。

そしてまたお会いしましょう!

p9060994

クズ野郎との戦い 

三年ほど人の手が入っていなかったくさかんむりの茅場は、

クズとセイタカアワダチソウが繁茂する

貧弱な植生の草原でした。

 

今年の正月に行った除伐作業によって

春に地面まで陽光が降り注ぐようになり、

クズとセイタカアワダチソウの足下で休眠していた植物が

元気一杯に顔を出したのを春の植生調査で確認できましたが、

当たり前なのですが陽光はすべての植物に平等に降り注ぎ、

クズとセイタカアワダチソウも元気一杯になりました・・・

夏の茅場

画像は一見、みどり豊かな草原に見えますが、

実はセイタカアワダチソウにクズが絡み付いて、

クズが太陽をひとりじめしている状態です。

一皮むけばこんな感じ↓

p8140318

伸び上がったセイタカアワダチソウのてっぺんに

クズが幕を張るように覆いかぶさっていて、

足下は夏なのに冬のような枯れた表情をしています。

クズのツルを引き抜いてみるとこの通り。

p8150357

地面があらわになって何も植物が生えていないのがわかります。

肝心のススキにも絡み付いてしまうので

茅場をつくるにあたっても、

クズの対処は大切な問題であり業なんです。

 

しかし、こんな厄介者のクズですが、

立派な秋の七草のひとつです。

クズの根っこに除草剤の注射を打ち込んで枯らしてしまうことも

出来るそうなのですが、

それでは人間の圧勝でおもしろくないですし、

くさかんむりとしては、クズを秋の七草の葛花として

つきあっていきたい。

 

人間と自然の絶妙な「間合い」があるはずです。

茅場はそんな人間と自然の調停点として成り立っているように

思うんです。

 

とは言え、この出しゃばったクズ野郎をおとなしくさせなければ

なりません。

クズは根っこに溜め込んだ栄養をつかって、春から夏にかけて

約10mも!ツルを伸ばします。

そして秋にあらたに作り出した栄養を根っこに戻すそうなので、

この時期にツルを引き抜いてしまえば

来年の栄養のストックを溜め込むことが出来なくなるので、

これを毎年くりかえして、少しずつおとなしくさせてゆく

ある種の兵糧攻めのような作戦をとることにしました。

 

手間も時間もかかるし面倒なようですが、

クズを征服するのではなく、うまく付き合っていきたいので

しばらくはこの方法でいこうと思います。

 

茅刈りの際には、刈り取ったススキを束ねるのに

クズのツルが縄のかわりにもなりますし

p2150033

注射を打って枯らすことにより、

クズがいなくなってしまうのもこまるんです。

 

かつてはクズのツルで籠を編んだり、葛布というツルの繊維を

つかって布を織ったりしていたそう。

そういうふうに「使う」ことで人間と自然とのバランスが

とってゆければと思います。

クズをつかったワークショップもやってみようかな。

 

とりあえず今はまだクズ野郎としか思えませんので、

数年後に葛花として俳句でも詠みたくなるようになりたいですね。

 

では、クズのツルを引き抜いてきます。

待ってろよクズ野郎!!!

Home > Archives > 2009-09

Search
Feeds

Return to page top