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2010-11

想うチカラ

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約10年前、まだかやぶきのかの字も知らないような頃、
暇をみつけては友人とよく箱木千年家に通っていた。

何か明確な目的があって通っていたというよりも、
千年家のふくよかな、昼間でも深い闇を抱えた子宮のような、
洞窟のような空間に当時の僕と友人は魅せられていたのだと思う。
ただいつも、あの空間に満ちるどうしようもない哀しさが
気になってしかたなかった。

ある雨の日、呼び水を引かれたようにして僕は千年家へ行っていた。
湿り気に溶け出した土と草の香りが、
深い暗闇に充満してよりいっそう密度のたかい空間をつくっている。
軒先からリズミカルに滴り落ちる雨だれに耳を澄ませているときに、
ふと、千年家の声が聞こえたような気がした。

それは守るべきわが子を無くした母親の嘆きのような、
大きなウロが出来てしまった大木のため息のような、
まさに包み込む営みがなくなってしまったイエの哀しみの声だった。

そのまま僕は急いで家に帰り、
千年家の声を、カラダに流れ込んできた感覚を、
音に置き換えて録音した。
レコードの音を繋ぎあわせてつくった37:25秒の音のコラージュ。
千年家の声を代弁した物悲しい響きの作品が出来上がっていた。

しかし当時の僕はチカラもお金も縁もアイデアもなかったので、
千年家の嘆きに応えるような具体的なアクションをおこすことも出来ずに、
ただ若さと時間を持て余しているだけだった。
結局、作品もキチンとしたかたちで発表することが出来ずに
ただ想いだけが空回りしていた。

それから数年の後、
なんの因果か僕はかやぶき職人に弟子入りし、
真正面から千年家に関わるようになっていた。
当時の懐かしくて痛々しい思い出を人に話しているうちに、
いつしか思い出はライブイベントという具体的なビジョンとなって
眼前に立ち現れていた。

あの時に発した音が今やっと耳に届いたような、
約十年という時間が僕にもたらしたものが、
千年家に想いを届けてくれたような気がする。

千年家に人が集い、笑い、音楽を奏で、踊る。
囲炉裏から姿を消した火のかわりに、
音が引力と温度を発して人々を呼び寄せ、
空間に満ちていた哀しさは温かな歓喜に置き換わっていた。

当時の僕が夢見ていた光景が目の前に広がっている。
そして僕もライブの出演者として最後に演奏させてもらった。
千年家のために、みんなのために、あの時の自分のために。

イベントに関わってくれたみんな、
夢を叶えてくれたみんな、
特に千年家を守り続けてきた箱木さん、
イベントの準備と運営を全面的にサポートして下さった北区役所のみなさん、
千年家に届く最高の演奏をしてくれた
バチコンドー、slow cafe、イーリャ・ダスタルーガス、むぎ、
当日の運営を快く引き受けてくれた古民家族のみんな、
たくさんの温かいおにぎりとみそ汁を作ってくれた浦商店さん、
すばらしい看板を描いてくれた書家の中西さん、
イメージ以上のポスターを作ってくれたcottの安福くん、
お祭り大好きないつもの淡河のみんな、
そしてイベントに来て下さったみなさま、
ほんとうに、ほんとうに

ありがとう!!!

また千年家でお会いしましょう!

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千の時 千の響 〜箱木千年家ライブコンサート〜

現存する日本最古級のかやぶき民家である箱木千年家。
永い時間が作り出した奥深い空間と、
建築物としての高い価値をもっている神戸が誇るかやぶき民家。

しかし、ダム建設の際に移築されてからは、
民家としての息づかいは途絶え、
かわりに文化財として保護されるようになった。

そのことは千年家にとって良いことなのかもしれないが、
人の住まわなくなった民家は、
博物館でみる民具や地蔵様のように
関わる人々の顔が見えなくなってしまっていて、
ただそこに在るだけになってしまっているようだ。

やっぱり民家は人が住んで、囲炉裏に火が焼べられて、人がそこで営んで・・・
箱木千年屋はその営みをほかのどの民家よりも
長い時間見つめ続けてきたからこその「千年家」だと思う。

もう千年家は民家に戻ることはできないが、
あのふくよかな空間をもう一度脈打たせることはできる。

もう今は使われることのなくなった囲炉裏に
火をくべるように音楽を演奏することで、
凍ってしまった時間の流れを解凍できたらと思う。
千年家が千年家として新しい時間を刻み、
物語を紡いでいくためのイントロダクション。

ただ保存するのではなく、
大切にみんなで使っていくことで残していくことを考えたい。
ライブイベントが、今の営みのカタチをさぐっていくきっかけになればと思う。

箱木千年家の、これからの千年のために。

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イベント詳細はコチラ

茅葺き屋根とふれあう月間 〜KOBE MEETS KAYABUKI〜

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ついに始まります。茅葺き月間。

ついに初めます。神戸のホンキのカヤブキ。

茅葺き月間詳細はコチラ

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